101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが綴った、毎日の小さな喜びを大切に、前向きに悔いの残らない時間を過ごす生き方。エッセイ集『101歳。ひとり暮らしの心得』(中央公論新社)から幸せな暮らし方の秘訣を紹介します。

<家の中のお気に入りの場所で過ごす幸せ>

ひとりごはんにけじめをつける「お盆」

私は、お気に入りのダイニングテーブルで原稿を書いています。大きな窓に囲まれ明るく風の通るここが我が家の特等席だと思っているのと、座っていても台所が見えるので、何かを火にかけながらでも仕事ができるからです。

食事を作りながら仕事をして、そこで食べるひとりごはんの食卓。ついバタバタとしがちですが、気取らず便利に楽しむ簡単な方法があります。

これは、忙しい人だけでなく、ひとり暮らしの人にもお教えしたい私流の手抜き術です。

仕事が立て込んでいるときは、書きかけの原稿や資料を傍らに食事をとることがあるのですが、このときに重宝するのがお盆です。仕事の道具をさっとテーブルの隅に寄せ、作り置きしておいたおひたしやみそ、塩じゃけなどの小鉢を並べたお盆を置けば、私だけの食卓の出来上がりです。

 

(写真:stock.adobe.com)

 

傍らに仕事道具があっても、「お盆の上は私の食卓」という仕切りを作ることができ、食事を楽しむことができるのです。スペースに仕切りができることで、頭の切り替えもできて気分がいいのです。

仕事が立て込んでいるときにテーブルの上をきれいに片付ける余裕はない。かといって、原稿の上にポロポロとパンくずをこぼしながら食事はしたくない。

そんなジレンマから、仕事中でもスマートに食事がとれるアイデアとして生まれたのが、お盆を即席のテーブルとして使うということだったのです。

忙しい人やものぐさな人ほど、生活の中で頭をひねる余地があるように思います。ひとりはとても気ままです。誰に気兼ねすることもなく自由に食べて、過ごしたいように過ごすことができます。

ですが、年老いてさらに、生活の中のけじめは大切だと思っています。

 

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