50代以降の女性に多い頻尿や尿もれ。
骨盤底筋のゆるみや不安感が原因に
トイレが心配……。その気持ちが頻尿を悪化させる
「加齢とともに尿トラブルを抱える女性は増えます。なかでも多いのは、頻尿と尿もれです」と話すのは、泌尿器科専門の自由が丘ウロケアクリニック院長、佐藤亜耶先生。
頻尿には、膀胱炎を原因とするものを除いて二つのタイプがあり、一つは過活動膀胱によるものです。
「個人差はありますが、膀胱は500〜600mLの尿を溜めることができます。200mL程度になると尿意を感じ、膀胱が収縮して尿を出すのです。過活動膀胱とは、膀胱が尿量に関係なく勝手に収縮して、突然激しい尿意に襲われる症状のこと。原因の一つに、加齢や女性ホルモンの減少による膀胱粘膜の萎縮があります」(佐藤先生。以下同)
もう一つのタイプは、心因性による頻尿です。
「排尿回数は、水分の摂取量や生活スタイルなどによって異なるため、1日何回が正常と言うことはできません。ところが、『1日に7回もトイレに行くなんて頻尿かも……』と思い込み、不安を募らせる人が少なくないのです。
さらに、『もしトイレに行けなかったら』という不安な気持ちが、尿意を強くしてしまうことが多い。しかも、『心配だから』と、尿が溜まらないうちに少量の排尿を繰り返すことで、膀胱の尿を溜める力は衰えます。つまり、不安が頻尿を呼び寄せ、悪化させてしまうのです」
一方の尿もれも、過活動膀胱による切迫性尿失禁と、腹圧性尿失禁の二つのタイプがあります。女性に特に多い腹圧性尿失禁は、咳やくしゃみ、大笑いなどお腹に力がかかった瞬間にもれる症状で、原因は膀胱や尿道などを支える骨盤底筋のゆるみです。
「骨盤底筋がゆるむと、尿道がうまく締まらなくなり、少しの腹圧でももれるようになります。この症状は出産経験者に多く見られ、出産でゆるんだ骨盤底筋の筋力が、加齢によりさらに低下するため、発症しやすいのです」