イラスト:大高郁子
身体を鍛えて、気分転換にもなって。メリットいっぱいのはずが、他人との近すぎる距離が自分の身を危うくする――(「読者体験手記」より)

コロナに打ち勝つためにもクラブで身体を鍛えよう

今年の夏、朝からスポーツクラブの入り口に並んだ。開館前からすでに数十人の列ができている。

私の通うAスポーツクラブは会員の平均年齢が72歳と高齢者中心。プール、スタジオ、ジムに加えて、スパエリアも完備しており、シニアのパラダイスだ。60代の私は若いほうで、上は80代90代の会員が古株として君臨している。

コロナ禍は、私の生活にも大きな影を落とした。5月までは小学校の講師として、週13コマを担当しやりがいある仕事を続けていたのだが、勤務先近くの病院でクラスターが発生。呼吸器に持病のある私は大ショックで、かかりつけ医に相談すると、「コロナに感染したら軽症では済まないでしょう。治りも遅い。後遺症の可能性もある」と言われた。そのうち学校の児童の保護者にも感染者が出たと聞いて、恐怖で身体がふるえた。悩んだ末、仕事より命を選択することに決め、退職した。

家にいてもコロナうつになりそうなほど落ち込むばかりだったが、気分転換として唯一毎日通い続けていたのが、このスポーツクラブ。コロナに打ち勝つ体力をキープするためでもあった。