何かを始めるのに年齢は関係ないというけれど、「やりたいことが見つからない」「体力がない」「この歳でできることなんてない」などと諦めてしまう人は多いもの。70歳を超えてから生きがいを見つけた3人の女性に話を聞いてみると、そこには人生を楽しむ秘訣がありました(イラスト=カワムラナツミ)
ままならない日々を乗り越えるために「書く」
「6年前、たまたま入った駅前の喫茶店で童話作品を募集するチラシを見つけたのです。もともと文字を書くことが好きだったから軽い気持ちで応募してみたのですが、気づけば毎年新しい物語を書いては応募し続けています」
そう語るのは、東京都在住の杉田俊子さん(77歳・仮名)だ。童話のベースになるのは、子どもの頃のことや父母との思い出。登場人物は動物に置き換えることが多い。
「まったく採用されませんが(笑)、それでもいいんです。書くだけで私は満足ですし、そのうえ審査員でも誰でも、書いたものを読んでもらえるなんて、そんな幸せなことはありませんから」
俊子さんにとって、「書く」のは童話に限らない。漢字の書きとりでも手紙でも、ままならないことが多い日々を乗り越えるために、文字を書く時間が俊子さんには欠かせないのだという。