2021年12月、大分県別府市と九州大学の実証研究で、「温泉には特定の病気のリスクを下げる効果がある」と発表された。温泉入浴で腸内細菌が変化し、免疫力にいい影響を与えるというものだ。温泉の本質を知り、より効果的に入浴すれば、効果もUP!? 
また、旅に出られなくても、温泉の豆知識を得ることで、湯けむりに思を馳せ、癒しを感じることも…。消化器外科医・温泉療法専門医であり、海外も含め200カ所以上の温泉を巡ってきた著者が勧める、温泉の世界。安心して、どっぷりと浸かってみてください。
※本記事は『秘湯マニアの温泉療法専門医が教える 心と体に効く温泉』(佐々木政一、中央新書ラクレ)の解説を再構成しています

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温泉の一般的適応症・泉質別適応症

温泉の適応症(効能)には、どのようなものがあるのだろうか。

適応症については、平成26年7月1日に最新の医学的知見を踏まえ、環境省から温泉法の改正案が出された。温泉(療養泉)の適応症は、(1)全ての療養泉に共通する一般的適応症、(2)温泉の泉質による泉質別適応症に分けられる。(表3、表4)

しかし、効能については温泉の含有成分から有効とされる疾患・症状を列記しているに過ぎず、また個人差もあり、あくまでも「効能の目安」と考えた方が賢明である。

また、禁忌症(温泉入浴または飲用によって有害事象を生ずる危険性がある病気、病態)についても、チェックしておくと安心だ。(表5)

皮膚または粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症の人は、酸性泉・硫黄泉が禁忌症なので、控えたほうがいい。(表6)