色も形も質感も変わる大人の目もと。加齢による変化をカモフラージュできるのが、アイブロウ、アイライン、マスカラを使った線のメイクです。《今っぽさ》を意識しながら、目の錯覚を利用したアイメイクマジックをマスターするには――。メイクアップアーティストの山本浩未さんに聞きました(構成=片岡えり 撮影=天日恵美:人物)
アイケアとメイクの両輪こそ大きな力に
「大人の肌はドライフルーツ」。これは、雑誌やメイクセミナーで繰り返しみなさんにお伝えしている言葉です。年齢を重ねるとどこもかしこも乾いて硬くなり、シワっぽくしぼみます。なかでもドライフルーツ化が顕著なのが、年齢のサインが早く表れる目もと。
まぶたが重くかぶさり、目尻が下がって、瞳の部分は小さく。さらに、顔にメリハリを与え力強さを表していた眉毛やまつ毛も細く薄くなって、眉と目の間が広がります。目の下が凹むという形状変化も……。個人差はあるものの、これは誰でもいつかは起こる加齢変化です。ぼんやり弱々しくなった目もとは、顔の上半分しか見えないマスク時代には悩ましい問題ですね。
けれど21世紀は、エイジングを〈仕方ない〉と諦める時代ではありません。美容医療や整形で一発逆転を狙う選択肢もありますが、私がおすすめしたいのは、誰にでも今すぐできるメイク術です。口もとに比べ、目もとはメイクで老化をカバーしやすいパーツ。目の錯覚を利用すればぱっちり大きく、くっきり力強い印象を与えられるのです。
ただし、メイクで変化をつけるのと同時に、スキンケアも重要です。美容のプロである私でさえずっと、顔全体にクリームを塗れば目もとのケアはいらないと思っていました。
実際、専用のアイテムを使ってアイケアを本気で始めたのは、シワ、たるみ、くすみが深刻になった55歳から。今では日々のケアの効果を実感していますし、アイケアとメイクの両輪こそが、若々しさを維持する大きな力だと確信しています。
美容液やクリームで目もとをしっかり潤すことで、シワっぽさやくすみ感も軽減できますから、朝のメイク前のアイケアがファーストステップと心得ましょう。