影山さんいわく、才能や個性がないからと、走り出す前に夢を諦めるのはもったいないとのことで――(写真提供:Photo AC)
16歳でデビューしたバンドは4年で解散。そこからノーギャラライブや15年にわたるアルバイト生活を経て、今頂点に立つ、アニソン界のパイオニア・影山ヒロノブさん。「歌い続けたい」という夢を持ち続けるとともに、歌を聴いてくれる人にも夢を持ち、追いかけることの大切さを伝えています。その影山さんいわく、昨年12月に亡くなられたアニキ・水木一郎さんやアニソンシンガーの人たちの声は、何十年もの間、磨きに磨いて作り上げられた個性の声なのだそうで――。

昨日できなかったことでも、今日頑張って、明日は叶える

俺がJAM Projectで歌を作る時、聴いてくれる人に絶対に伝えたい、と思っていることがあります。

それは「昨日できなかったことでも、今日頑張って、明日は叶える」ということ。平たく言えば、頑張って夢を叶えよう、という呼びかけです。

しかし最近では、「夢なんて持てない」と、やや後ろ向きな考え方を持つ若い人が増えていることを感じています。いや、若い人だけではない。十分に年齢を重ねた大人もまた、同じかもしれません。

俺が青春時代を過ごした昭和と比べて、世界は格段に便利になりました。少年時代に見た「ウルトラセブン」が描いた「近未来」より、ずっと進んだ世界に俺たちは今、生きています。

ただし、便利にはなったけれど、常に右肩上がりで「明日は今日よりよくなる」という希望を持つことが容易だった時代と比べ、今は「明日が今日より悪くならないように」と祈りたくなるような、得体の知れない閉塞感が充満しているようにも感じます。