厚生労働省が発表した「簡易生命表(令和3年)」によると、男性の平均寿命は81.47年、女性の平均寿命は87.57年(2022年度)。同調査によれば、いずれも40年前からは9歳程度伸びたことになりますが、実際、80歳を超えてもイキイキしている、いわゆる《スーパーエイジャー》を目にする機会も増えた印象があります。一方、人の脳と生活習慣の関係を研究してきた脳科学者の西剛志さんによれば「脳が老化していけば睡眠が短くなっていくので、年を重ねたら睡眠にも気を付けなければならない」とのことで――。
20歳よりも70歳のほうが50分ほど睡眠時間が短い
「睡眠の質が年々悪くなって、ぐっすり寝られない。どうしたらいいでしょうか?」こんな相談を受けることがあります。夜中に何度も目が覚めてしまい、熟睡できないという人が高齢者に多くいます。
歳をとると、どうしても睡眠の時間が短くなることがわかっています。実際に睡眠時間は10歳毎に10分短くなるそうで、20歳よりも70歳のほうが50分ほど睡眠時間が短くなります。
これは脳から分泌されるメラトニンという睡眠物質が加齢によって減るからです。メラトニンがたくさん分泌されるほど長い時間眠れます。
このメラトニンは、思春期の頃から徐々に減ってきて、歳とともに減少するため、睡眠時間が少しずつ短くなるのは仕方のないことです。