お土産の通行手形と同じ押し入れから出てきたアルバムには――(写真提供:photo AC)
今日本には、警察庁に届け出ている探偵事務所が5000から7000社あると言われています。そこに持ち込まれる浮気や不倫調査の件数は年々増加傾向にあるそうです。慰謝料や賠償金の相場はケースによって異なりますが、一般的に100万円~500万円。ただ、金額以上に失うものも大きいものです。
連載『スー女の観戦記』でおなじみのしろぼしマーサさんは、押し入れの奥から出てきたお土産の通行手形から、今は亡き父との思い出がよみがえり――。

仕事と孤独が親友

押し入れの奥から出てきたお土産の通行手形73枚を捨てようと思った。観光地の売店で販売している木材に絵が描かれ、鈴がついたものだ。

亡くなった母が80代を越えて認知症になった時に、私は母が40代の頃に使っていたメモ帳を見つけたことがある。メモ帳には、「主人は嘘、嘘、嘘。働け、働け、仕事と孤独が私の親友だ」と書いてあった。父と共に旅行をしているはずの人が、母が働いていた仕事場兼自宅に訪ねて来てしまい、父の嘘がばれた時に書いたものだった。

両親は製造業をしていて、父は「得意先との旅行だ」、「お金を借りている銀行の旅行だ」と言いつつ、愛人と旅行をしていたようだ。泊りがけの旅行は、父と母は二人だけでしたことがなく、家族旅行もなかった。

父は旅の通行手形を集めていて、人からもらったもの、私が旅行した時にお土産として渡したものもあるが、発見した通行手形の中には愛人との旅の思い出もあるはずだ。