エリザベス女王、戴冠式の様子とは――
2023年5月6日、70年ぶりとなる行われるイギリスのチャールズ国王の戴冠式が、イギリスの首都ロンドン中心部のウェストミンスター寺院で行われます。日本からは、秋篠宮ご夫妻が参列のため、5月4日に政府専用機で東京の羽田空港を出発されました。女王が25歳で即位し、翌年行われた戴冠式の様子を解説した9月12日の記事を再配信します。

******
2022年9月8日、イギリス王室は女王エリザベス2世が死去したと発表した。享年96。スコットランドのバルモラル城で静養中だった。2021年には夫のフィリップ殿下を見送っている。1952年、父の急逝を受け25歳で即位。翌年、6月2日に行われた戴冠式の様子とは――

6月2日の戴冠式

6月2日は、時折雨にたたられることもあったが、女王陛下のお出ましの際には天候にも恵まれていた。政府首脳や各国からの賓客、王族らが次々と修道院に到着した後で、ついに女王陛下の登場となった。

1762年に「七年戦争」での勝利を祝って、ジョージ3世(在位1760~1820年)が造らせた「黄金の公式馬車(ゴールド・ステート・コーチ)」にフィリップとともに乗った女王は、国民に手を振りながら行進した。重さ4トンにものぼる黄金製の豪華な馬車は8頭の馬に引かれて、沿道の人々の目を釘付けにした。

午前11時ちょうどに女王夫妻は修道院に到着した。かつて結婚式を執り行ってくれたカイスラエルから続く「塗油」の儀式が行われた。オリーブ油にオレンジ、バラ、シナモン、麝香(じゃこう)、龍涎香(りゅうぜんこう)などが独特に調合され、女王の腕や手、胸や頭に塗られていった。

このときはガーター勲爵士四人が天蓋で女王を覆い、秘儀としてテレビでも放映されなかった。この油は、1941年に修道院首席司祭の公邸がドイツ軍の空爆で破壊されたときに焼失してしまったが、幸い「調合法(レシピ)」が残っていたので再現できたのである。