他球団から人気のトレード候補に
2度のファーム降格もあり、16試合登板で4勝1敗1ホールド、防御率5.57という成績に終わったプロ1年目。チームは2年ぶりにセ・リーグ優勝を果たしましたが、素直には喜べませんでした。
即戦力として期待され、先発ローテーションにも入れてもらいながら、たったの4勝では優勝に貢献したとは言えません。来年こそ! と強い気持ちで2年目のシーズンに挑んだのですが……。そこからしばらく低空飛行が続きました。
2年目以降はチーム事情によりリリーフに回ったり、また先発に戻ったりと配置転換こそありましたが、岡田彰布監督は辛抱強く僕を使ってくれました。でも、期待に応えられる結果を残せないまま3年の歳月が流れ、08年はとうとう0勝。
先発は1試合だけで、残る10試合はリリーフでしたが、“勝ちパターン”に入っているはずもなく、力量を完全に見極められて、「能見を使うくらいなら、新しく入ってきた選手を使ったほうがいい」と考えられ始めていたと思います。
起用法を見る限り、トレード候補だったと想像できます。あとで聞いた話ですが、僕は他球団から結構、人気があったそうです。サウスポーというのも大きかったでしょう。
本心としては、自信はあるのに使ってもらえない、という状況ではないものの、環境が変わればきっかけになるかも、と少しは思っていました。
頑張っているつもりなのになかなか結果が出ない。このままではチャンスも少なくなる。それなら移籍したほうが……。そう考えるのは自然なことです。欲しいと言われて移籍すれば、必ず使ってもらえますからね。
ただ、僕がトレードされることはありませんでした。他球団から需要があると分かり、かえって阪神は「手放せない」となったかもしれません。トレード先で僕が飛躍したら、「阪神は何してたの?」と言われてしまいます。