この夏、全国高等学校野球選手権大会で見事日本一に輝いた慶應義塾高等学校野球部。クローズアップされてきたのが「選手の自主性を尊重する」という森林貴彦監督の指導法である。現在、50歳。小学校教諭と二足の草鞋の森林さんは、伝統を重んじる高校野球界に一石を投じ、今回、見事に有言実行してみせた。
選手たちを上から俯瞰で見て、少し後ろから追いかけるドローンのような存在、それが自身の指導ポリシーだという森林さん。いったいいつから高校野球の指導者を志したのだろうか(構成◎吉田明美 撮影◎本社・奥西義和)
選手たちを上から俯瞰で見て、少し後ろから追いかけるドローンのような存在、それが自身の指導ポリシーだという森林さん。いったいいつから高校野球の指導者を志したのだろうか(構成◎吉田明美 撮影◎本社・奥西義和)
「高校野球オタク」だった
選手たちを上から俯瞰で見て、少し後ろから追いかけるドローンのような存在、それが自身の指導ポリシーだという森林さん。いったいいつから高校野球の指導者を志したのだろうか。
僕、小学校の低学年から「高校野球オタク」だったんです。(笑)
高校野球の1日4試合を全部見ようとすると親に怒られて、1日2試合までにしろと言われた。だからテレビで見る2試合を選んで、残りの2試合は外でボールの壁当てなどをしながらラジオで聴いていました。(笑)
とにかく高校野球が好きでしたね。何が…なんでしょうね。僕にとっては魅力がいっぱいでした。桑田選手や清原選手が活躍したPL学園の試合もよく覚えています。
といっても自分自身が小学生から野球をやっていたわけではありません。近所の草野球程度で、そろそろチームに入ろうかなと思った高学年のときに中学受験をすることにしてしまったので、クラブチームにも入りませんでした。
両親は勉強などをうるさく言うタイプではなく、同居していた父方の祖父母も含めてみんなスポーツが大好き。祖父や父はゴルフや登山。祖母はスキューバダイビングや水泳をやっていましたよ。また祖母は茶道、母は書道と、文化的な環境もありましたね。好きなことがあれば思う存分やらせるという教育方針だったかもしれません。家族が多かったからいろいろな目で見てもらえたのもよかったと思っています。
今回優勝してからまだ、両親には会えていませんが、「本にサインして20冊送って」なんて言ってきてますから、優勝を喜んでくれていると思います。