「脂肪」と一口に言っても、皮下脂肪と内臓脂肪があるのをご存じでしょうか。お腹がポッコリ出てしまうだけでなく、《隠れ肥満》の原因にもなるのが内臓脂肪。放置するとさまざまな病気を引き起こすリスクがあるのです(構成=吉川明子 イラスト=豊岡絵里子)
2種類の脂肪 それぞれの役割とは
太って見た目が悪くなる原因としてみなさんに嫌われがちな脂肪ですが、少なければ少ないほどよいというものでもありません。
脂肪とは、体が飢餓状態に備えて、エネルギーを貯蔵したもの。体内の細胞一つひとつを包む膜の成分でもあり、女性ホルモンや男性ホルモンの原料になるなど、人の生命維持に関わる重要な役割があります。
脂肪のもとになる成分は、中性脂肪です。血液中に溶けている油のことで、血液検査ではおなじみの項目。中性脂肪が多ければ多いほど、脂肪が大きくなっていきます。
では、この脂肪は体のどこにあるのか。そもそも脂肪には、皮下脂肪と内臓脂肪の2種類があるのです。
皮下脂肪とは、その名の通り全身の皮膚の下に蓄積されたもの。体を寒さから守って体温を一定に保ち、外部からの衝撃を和らげる働きがあります。つけばつくほど体全体が丸みを帯びるため、見た目にわかりやすい。
頰やあご、二の腕などにお肉がついたな、と思ったら、それは皮下脂肪です。女性の場合は特に、子宮や卵巣を守るため下腹部につきやすいのも特徴。
また、皮下脂肪はビタミンDや女性ホルモンを合成する役割も担っています。