AIが優れたものを書く時代

和田 もうひとつ興味深い話があって、これはメディアアーティストの落合陽一さんに伺ったんですが、いままでコンピュータというのは、計算速度を競い合っていたわけですけど、昨今の研究テーマは、「国語力」をどう上げるか、ということだったんだそうです。

それで、概ね2026年ぐらいには、人間が作る文書と遜色ないもの、あるいはそれ以上のものが作れるだろうと予測していたそうなんですが、なんとそれが、2023年に達成されてしまった。チャットGPTがその成果のひとつですね。

和田「すでにネットが普及した頃から始まっていますが、私たちが情報にアクセスすることは非常に容易になりました」(写真提供:Photo AC)

人間が書く日本語の文章よりも、AIが優れたものを書く時代に突入してしまった、ということです。

若宮 本当にそうですね。実際、例えば「40歳代の女性向けの口紅の広告のキャンペーン」とお題を与えれば、生成AIは、瞬時に文章を作成してくれます。

でも、それを鵜呑(うの)みにするんじゃなくて、自分ならこういう要素を足したいとか、こんな切り口でいきたいとか、AIとは異なる観点を持ち込む必要が出てくると思うんですね。