起承転結の「転」や「結」だけで満足

また、2021年ごろにはTVerに「シーンシェア」という機能がつき、ユーザーがSNSなどでシェアしたいと感じた場面で一時停止してシェアボタンを押すとURLが生成され、そのURLをクリックした他のユーザーはTVerでその部分をすぐに観ることができるようになった。

わざわざ番組全体を観なくても、またSNSで話題になっているシーンを観るためにわざわざ番組をスクロールやスキップしながら観なくても、他のユーザーがおもしろいと感じたハイライトの部分だけをおいしく消費することができるのである。

まあ、そもそもそのようなシーンシェアに頼らずとも、SNSにはテレビや映画のハイライトが切り抜かれて違法にアップロードされているわけで、合法かどうかは別として、消費者は簡単に、手間をかけずに動画のおいしいところを消費できるのである。

このように、長時間の動画や、動画全体ではなく、その動画の一番おいしい部分だけ消化するような視聴方法により、起承転結の「転」や「結」だけで満足できてしまう者も増えている。

だからこそ、SNS上で話題の番組のあらすじを見たり、ネタバレ動画で動画の流れを知った後にハイライトの部分を観て、動画を消化した気になれてしまうのである。

※本稿は、『タイパの経済学』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。


タイパの経済学』(著:廣瀬涼/幻冬舎)

なぜ異常なまでに時間に囚われるのか?

・動画はとにかく「短く」
・スポーツ・映画は観ない
・スキマ時間がなくなった

……「とにかく失敗したくない」Z世代の消費行動のナゾを解く!