人間は「〜のように」が得意な生物
お手本となる師や、憧れのロールモデルを内在させる、というのもパフォーマンス向上にとって有効な方法です。
「手を石のように硬くする」もある種のモノマネで、人間はおそらく、あらゆる生物の中で、「〜のように」が得意です。ちなみに私は試合の時、「一瞬、自分のヒーローに変身する」というのをやっていました。
「ここを一気に攻めれば勝てる」という局面では、(自分ではなく)ヒーローが憑依したように猛然とラッシュする。苦しい場面では「どんな時もあきらめない憧れの先輩」のブレなさをイメージして動く。
もちろんずっとはできませんが、ほんの短時間なら「憧れのように」も動けること、流れも変えられること学びました。
脳内にあるファンタジー、肉体で現出するリアル。これらの使い方も面白いところです。
※本稿は、『可能性にアクセスするパフォーマンス医学』(星海社新書)の一部を再編集したものです。
『可能性にアクセスするパフォーマンス医学』(著:二重作拓也/星海社新書)
現代におけるテクノロジーの発達は、人間の根幹を成す「運動」の欠落という大きなマイナスを招いています。「運動と共に理解すること」は人間本来の性質です。運動すれば、理解できる。理解できれば、予測できる。予測できれば、生きる可能性が広がるーー運動は本来、「生きる」に向かう行為なのです。本書は脳や身体の可能性を、現役のスポーツドクターがその根拠となる医学的背景とともに解説し、「視る」「呼吸する」などの具体的な側面から「パフォーマンスとはなにか」を紐解き、人間の心と身体における原理原則を共有します。「パフォーマンス医学」はあなたの可能性にアクセスします。