「監督から『ケンカだぞ!? なに丁寧にやってるんだ!』と怒鳴られることもありました」

祖母の厳しいしつけと、乱暴な役柄とのギャップ

ありがたいことに、その後も『不良少女とよばれて』『スクール☆ウォーズ』等、途切れることなくドラマへの出演が続きました。人を殴るような役柄が多かったため、素の僕も乱暴な人間だと思っていた人もいたようです。役のイメージって強いんですね。(笑)

でも、実際は真逆。僕は家庭の事情で両親と離れて祖母と住んでいたのですが、この祖母が本当に厳しい人で。小学生の頃から食事は正座、食べ始めるのは目上の人が箸をつけてから。食事中はおしゃべりもテレビも禁止という厳格さで、年賀状を書いていても、少しでも字が曲がると無言で書き直しを命じられる。まるで武家の暮らしのようでした。

僕は祖母が50歳の時の孫です。祖母は「両親と暮らしていない子だからといって後ろ指を指されないように」と、人一倍頑張って僕を育ててくれたのだと思います。とにかく強い人で、僕が学校でいじめられたりすると「うちの憲幸(松村さんの本名)がお宅の※※くんにいじめられたそうですが」と、相手の家に乗り込んで行くんです。僕も一緒に連れて行かれるため、内心「これでまた明日もいじめられる。勘弁してよ~!」と思っていました。(笑)

詩吟の先生をしていた祖母は、礼儀作法だけでなく所作にも厳しい人でした。正座をする際はズボンの膝が出ないよう、膝の上をクイッとたくし上げてから座るようしつけられたのですが、僕はドラマの乱闘シーンで相手に馬乗りになって殴る場面でもそれをやってしまって(笑)。監督から「ケンカだぞ!? なに丁寧にやってるんだ!」と怒鳴られることもありました。

しかも、これまで人のことは必ず「さん・くん」をつけて呼んできたのに、ドラマでは呼び捨てどころか暴言を吐かなくてはいけない。日々、現場で日常とのギャップを感じていましたね。