両親にとっても記念日だ
誕生日にバカ騒ぎをしないようになって、ひとつ気づいたのは親にとっても記念日であることだ。妊娠、出産という経験がないとつい忘れてしまうが、自分の年齢だけ親も「若が子の父、母となって×周年!」だ。照れずに感謝の意を伝えたい。ありがたいことに私はまだ両親が健在している。今年も誕生日が近くなったころに母親からLINEがきた。
「今年の誕生日、何がほしい?」
「いいよ、いらないよ。気持ちだけもらっておくね」
そっけなくそう終えたけれど、よく考えたら子どもらしく甘えることのほうが、両親にはうれしいのかもしれない。あらためて返信をした。
「やっぱりお小遣いがほしい」
母からはハートマークつきで「現金書留を送る」と返信が。そのお小遣いで私は香水を買った。敬愛する上沼恵美子さんが、シャネルの『CHANCE』を愛用していると聞いてから、ずっと欲しかったもの。これで私も何かしらチャンスを掴みたい。
香水の写真をLINEに送った。母は「よかった!」と一言。父親にもその写真を見せたらしいが、まったく無反応だったとか……。傘寿が近くなるとやんわりボケも始まって、娘の誕生日にも興味が失せるのかしらね。そんなことを考えた今年の10月25日。来年はどんな誕生日にしようか。