圧迫骨折にもめげず、正月は一時帰宅

母は激情型の人間ですが、一方で極めて論理的に物事を考える人でもあります。悪く言えば理屈っぽいのですが、決してひねくれ者ではない。理を説けばちゃんとわかる人です。

このときも口ではそう言いながら、「2週間は我慢。それからまた頑張る」と気持ちを切り替え、前にも増して精力的にリハビリに励んだのです。

人間誰しも目の前にご褒美があれば、やる気が出るものです(写真:本社写真部)

その甲斐あって年末年始(2017年12月30日~2018年1月3日)は、杖(つえ)をつきながらでしたが、入院先の病院から実家に一時帰宅が叶い、私と一緒に大好きなお酒を飲み、おいしいおせちも食べることができました。

お酒は母が一番好きな地元富山の日本酒を用意したのですが、「あぁ~、おいしい。お酒が飲めてよかったわぁ」とそれは嬉しそうで、見ているこちらも幸せな気持ちになりました。 

母の帰宅に合わせて、あらかじめ家には簡易トイレを付けたりしたのですが、ちょっと手を貸せば一人で家のお手洗いが利用できたので、結局、使いませんでした。

自分でパンツ式のおむつもちゃんと穿(は)けましたし、これならもう少しリハビリを頑張れば、何とか一人暮らしができそうだと、私も希望を膨(ふく)らませることができました。

そして何より母がそれを望んでいました。正月の三が日が明けると母は病院へ戻ったのですが、家を出るとき、しみじみ口にしたのです。

「やっぱり、家で暮らしたい」

私は、何としてもそれを叶えてあげたいと思いました。