深夜の台所

老母の入院中、長きにわたり彼女が管理してきた台所の片付けをはじめたはいいが、腐った食材、大量のプラスチック容器やレジ袋などが、出てくること出てくること。

しかも、整理されずにただただ放り込んであるのだから、どこから手を付けたらいいのか……と、途方に暮れる。

腐った食材、大量のプラスチック容器やレジ袋などが、出てくること出てくること(写真提供:Photo AC)

日頃、立派なことを言う割には、全く以て実態が伴っていないではないか!

それが老いによるものなのか、元々雑な性格なのかはさておき、大学進学と同時に実家を出て早40年。

たまに帰省することはあっても、母が仕切っている台所の流しの下や食器棚の一番下の開き戸の中までチェックすることはなかったわけで。

まさかのまさか、ここまで悲惨な状態に陥っているとは……。正直、想像だにしていなかった。

「おやすみー」

老父が2階の寝室に引き上げた後の深夜の台所で、一人死蔵品と格闘する。

消費期限の切れた食材や何年も前に賞味期限が切れている調味料だけでも45リットルのゴミ袋があっという間にいっぱいになり、汚れでベタついたレジ袋やプラスチック容器は優にその3倍もある。

洗面所の戸棚に押し込んであった大量のタオルを一度全部出してたたみ直すだけでも一苦労。いやはや全くどういうことよ。

「あの人、寝たきりになっても口だけは達者なんだろうなあ」

他人事だった介護を自分事として捉えた瞬間だった。