自分がいかに生かされているのか

帰り際、受付の人に声をかけられた。「乾燥しているから、これを飲んで」とスポーツドリンクをお湯で割ったものを出してくれた。「最初来たとき、ものすごく険しい顔をしていて、本当に心配したよ。でも、今はだいぶ表情が柔らかくなって、本当によかった」。そう言われてはじめて、自分が本当に険しい顔をしていたことに気づく。

ぶつかられて、もちろん体の強い痛みがしんどかったが、いきなり知らない人にわざとぶつかられるという、得体の知れない悪意に触れた居心地の悪さと怖さもあった。

『死にそうだけど生きてます』(著:ヒオカ/CCCメディアハウス)

どうしても、自分がされたことは「大したことがない」と思い込もうとしてしまうのだが、「それは全然大したことではなく、大変なことだ」「あなたは酷いことをされたんだ」と言われ、心が晴れて、救われたような気持ちになる。

この出来事があって、日常でたまたま接する名前も知らない他人の善意や優しさに、自分がいかに生かされているのかを実感するようになった。