高齢になると、食の好みが変わるといわれていますがーー(写真提供:Photo AC)
厚生労働省が2022年に行った調査によると、歯周病ともいわれる4mm以上の歯周ポケットを持つ人の割合は、高齢になればなるほど増加していたようです。そのようななか「老化は口の中から始まる」と語るのは栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅先生と歯科医師の栗原丈徳先生。さらにお二人は、「高齢になるほど、食べやすく、炭水化物が多いものを無意識に選ぶようになる」と言っていて――。

牛丼やカレーライスが好きになる理由

高齢になると、食の好みが変わるといわれています。若いときは脂の滴るステーキが大好きだったのに、年をとったらお刺身などのあっさりしたものを好むようになったとか、そういった話はよく聞きますね。

加齢による食の好みの変化の1つに、牛丼やカツ丼、カレーライス、ラーメン、そば、うどんなど一皿(丼)で食べられるメニューを食べる頻度が増える人がいます。

これらの食事の特徴は、食べやすいことと、炭水化物が多いことです。

牛丼やカレーライスは、よく噛まなくても食べられます。カツ丼も煮てやわらかくなっていますから、噛まなくても一気に食べられますよね。そばやうどんなどは、歯がない人でも食べることができます。

口まわりの筋肉の3つの機能(「しゃべる」「噛む」「飲み込む」)のうち、噛む力が衰えると、固いものを噛んで食べるのが無意識のうちにつらくなってきます。

加齢とともに、ステーキなどを噛んで食べるのがだんだんめんどうになり、食べやすい炭水化物が中心のメニューに移行していく人が実に多いのです。