騙された自分がバカだった

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次にSに会う日は、すでに決まっていた。私は、決着をつける準備をしてその日を待った。

ライオンゴロシの患部は、切り落とせない。でも、ライオンゴロシそのものは、切り落とせる。

騙された自分がバカだったのだ。そもそも、「誰でもいいから夜を一緒に過ごしてほしい」などと浅はかな甘えを抱いていたことが間違いだったのだ。

必死にそう説き伏せる理性を黙らせたくて、枕に顔を押し付けて大声で叫んだ。「助けて」と叫んだ声は、くぐもった唸り声にしかならなかった。