私はリハーサルはすべて立ち会い、よりよい舞台になるよう頑張りましたが、暑さに慣れているとはいえ、今年の異常な気温はさすがに老いた身にはこたえた。公演が終わってしばらくしてから疲れが出て、生まれて初めて体調を崩して入院してしまいました。
幸いたいしたことはありませんでしたが、今までとは違う点がひとつ。私は《創る》ことが大好きで、例年だと舞台稽古が終わり、本番が始まったとたん、「来年はこうしよう」「こんなふうにしたい」とアイデアが湧きます。ところが今年は、何も思いつかない。こんなことは初めてでした。
まぁ、もう少し休んだらアイデアが湧いてくるでしょう。私は楽天家だし、年齢のことなんか一切考えたことがないので、あまり心配はしていませんが――。
半世紀以上前に「真夏の夜のフラメンコ」を始めたのは、1961年から数年間、フラメンコの修業に行った際の経験からです。夏になるとスペイン各地で「フィエスタ・デ・エスパーニャ」という野外公演があり、フラメンコをはじめ各地方の民族舞踊やバレエ、モダン、オペラなどが上演されます。
スペインのことですから始まるのはようやく涼しくなる頃、夜の10時すぎ。ワインやビールを片手に観る野外での舞台は本当に楽しくて、帰国して自分の舞踊団を持ったらぜひ開催したいとずっと思っていました。
私は、やりたいと思ったことはどうしても実現させたい、持続させたいがモットー。おかげさまで今年、52回を迎えた次第です。