ドラマは対立構図が多いほど見どころが増える
登坂不動産の新入社員・十影健人(板垣瑞生)は永瀬の部下だが、この男も敵に属するだろう。永瀬が顧客先へ行くよう命じても平然と断る。「無理っす」。別の仕事があるわけではない。ランチに行くからだ。
十影は好成績を狙う永瀬に向かって、「そんなに成績を上げたいんですか?」と冷めた表情でつぶやく。永瀬が「給料が上がるし」と答えると、「オレ、基本給だけで大丈夫すけど」と鼻で笑う。ついには友達と会うために早退してしまう。
どうやら現代の若者の一部を象徴する青年らしい。こらえきれずに永瀬が十影を叱り飛ばそうとすると、前作で一人前になった営業ウーマンの月下咲良(福原遥) が押しとどめる。「怒っちゃダメです。怒られて伸びるタイプの若者はもう絶滅していると思ってください」。なるほど、そんなものかも知れない。ドラマは対立構図が多いほど見どころが増える。
第2に出演陣が粒ぞろい。永瀬役の山下は俳優としての魅力が増すばかりである。良い俳優の条件は「1に声、2に顔、3に姿」と古くから言われるが、山下は低音の声が抜群にいい。また、つくろうとしてもつくれない存在感がある。演技力もあり、永瀬役を自分なりにアレンジして演じている。顔がいいのは言うまでもない。
前作に続き、続編の初回に登場した名優の山崎努(87)はよほど山下のことを買っているのだろう。役柄は和菓子職人・石田努役だ。