ペリーさん「休みたいと思う気持ちがとくに強いとき、その気持ちが頻繁に起こるときは要注意」(写真提供:Photo AC)
総務省の発表によると、2023年4月時点での日本の子ども(15歳未満)の数は、推計1435万人だそう。子どもがいれば、それだけ子育ての悩みもあることでしょう。今回は、英国の心理療法士フィリッパ・ペリーさんが「親子の絆を深めるための秘訣」を、高山真由美さんの翻訳の元お伝えします。ペリーさんいわく、「休みたいと思う気持ちがとくに強いとき、その気持ちが頻繁に起こるときは要注意」だそうで――。

過去をどう修復するか

少し前、もうすぐ母親になるという人から、新米の親に1つ言いたいことがあるとしたら何を伝えるかと訊かれました。

私の答えは、「子どもは何歳になろうと、あなたがその子どもに近い年齢だったころに経験した感情を、体感できるくらいはっきりと思いださせる」というものでした。彼女は少々とまどったような顔で私を見ました。

1年ほど経ったあと、足もとによちよち歩きの幼児を連れたその女性が、あのときは言われたことの意味を理解できていなかったけれど、いざ新しい役割が始まってみるとうなずけることがたくさんあり、子どもに共感するための助けになったと話してくれました。

赤ん坊であるというのがどういうことかは、意識できる形で記憶していなくても別の形で覚えているものであり、子どもはそういった物事を常に思いださせるのです。

親がそばにいてくれなかった時期のある人が、子どもがその年齢になったときに距離を置きたくなるのはよくあることです。あるいは、自分が孤独を感じていたのと同じ年齢に子どもがなったときに、感情面で距離を置きたくなるのもよくあることです。

こうした感情から逃げたい、子どもから逃げたいと思うかもしれませんが、それを実行すれば自分がされたことをそのまま子どもに伝えてしまうことになります。あなたが子どもに伝えることのなかには良いものもたくさんあるでしょう。自分が受け取ってきた愛情をすべて伝えることもできるでしょう。

しかし、不安や、憎しみ、孤独、恨みなどは伝えないほうがいいのです。子どもに対して不快感を覚えることもたびたびあるでしょう。

パートナーや自分の親、友人、または自分自身に対するときと同じです。それがわかっていれば、子どもがもたらす感情を無意識のうちにそのまま子どもに押しつけることは減っていくはずです。