なかなか丁寧な作り

ドラマを見ていると、公任と道長は同い年だが、公任の態度がややでかい。

『謎の平安前期―桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年』(著:榎村寛之/中公新書)

公任は関白頼忠(演:橋爪淳さん)の嫡男。道長は右大臣兼家(演:段田安則さん)の正妻時姫(演:三石琴乃さん)の三男なので、公任の方がこの時点では出世が早いからである。

その後の場面の関白邸での勉強会(そんなものがあったのかどうかは疑問だが)では、藤原行成が出てきたが、彼は道長より6歳年下で、当時従五位下侍従だった。いわば上級貴族の家の坊ちゃんが、天皇のお側仕えをする見習いの立場である。

いっぽう道長は当時右兵衛権佐で、官位は行成と同じ従五位下でも、一応正式な役付き。なので、ここでは道長の方が少し偉そうにしている。このあたり、ドラマ中で述べてはいないが、なかなか丁寧な作りである。