信濃に20年費やして

もちろん信玄は非常に優秀な人物で、戦争もうまい。まるごと一国を切り取って領地を増やすなどという大事業は、ほかの大名にはそうそうできることではありません。

だからないものねだりのような話なのですが、信玄はクーデターを起こして父を追放した後、信濃に侵攻し、10年で信濃の半分以上、だいたい今の長野市まで(石高でいうと30万石くらい)を手に入れています。

そこに戦争マニアのような謙信がやってきて、北信濃の地を巡り、川中島で何度も戦うことになった。しかし、北信濃は山ばかりで、米が取れるような土地は少ない。だいたい10万石ぐらいなのです。この10万石のために、10年も費やしてしまった。合計で20年。

それだけの歳月をかけても一国を支配するのは立派ではあります。立派ではあるのですが、信長とくらべるとスピード感の差が出てしまう。