ステロイド
脂肪肝が全身に及ぼす悪影響はこれだけではありません。
体内には「副腎」という、各臓器や器官の炎症を鎮(しず)め、修復させる「ステロイド」という成分を生成する臓器があります。
このステロイドは、通常だと体内の各臓器で仲よく分けあって、体内の健康を保つために使うのですが、肝臓が炎症を起こしてしまうと、その炎症を抑えるためにステロイドが肝臓に優先的に使われてしまいます。
その結果、ほかに修復が必要な臓器にステロイドが十分に回っていかない状態になるのです。
肝臓以外でも、内臓脂肪が多くなると炎症物質は発生するので、内臓脂肪が多い人は慢性的に炎症が全身で起こっている状態になります。
簡単にまとめると、内臓脂肪が多いと、体内が傷つけられ続けているのに、それを修復してくれる道具も不足しているような悲惨(ひさん)な状態になってしまうのです。
そんな状態が続けば当然、さまざまな臓器や器官に不調が現れ、さらに深刻な病気を引き起こすことへとつながります。