「考えるのを完全にやめるのは不可能ですが、考える時間を減らすことはできます」(写真提供◎photoAC)
内閣府が発表した、令和4年度の国民生活に関する世論調査によると、日常生活で悩みや不安を「感じている」と回答した人の割合が78%でした。内容としては、「老後の生活設計」や「自分の健康」、「今後の収入や資産の見通し」などが多く、快適な暮らしができるようになった一方、精神的な不安を抱えている人も多くいます。世界33ヵ国語で翻訳された『考えすぎない練習』によると、悩みや不安の根本原因は「考えすぎ」にあるとのこと。私たちは、普段どの程度考えすぎてしまっているのでしょうか――。

「いま、ここ」に心を置く

考えるのを完全にやめるのは不可能ですが、考える時間を減らすことはできます。そうやって日を追うごとに考える時間を少なくしていけば、やがて一日の大半を思考にとらわれずに過ごし、ほとんどの時間を幸せに満ちた状態で生きられるようになります。

私たちが「考えるのをやめたい」と言うと、多くの人はたいてい、すべての考えをやめようとしていると勘違いします。これは私たちが目指していることではありません。

「考え」と「考えること(思考)」の違いはもうおわかりですね。私たちは、浮かんだ考えについて「考えること」は最小限に抑えて、「考え」だけが次々と浮かんではあふれてくる状態を目指しているのです。

考えるのをやめることについて、最も興味深く逆説的とも言えることがあります。

それは、考えることを最小限に抑えるにはそれを意識するだけでよく、他には何も必要ないということです。自分が考えているということ、それがすべての苦しみの根本原因であることを意識すれば、私たちはおのずとその事実を自覚します。

そして、思考にとらわれなくなり、思考を落ち着かせてやり過ごすことができるようになります。労力はほとんどいりません。純粋に「いま、ここ」に心を置くだけでいいのです。