手術は成功したが再発。ホスピスに入って…

ところが、2022年に入ったばかりの1月にMRI検査を受けて再発が判明した。

病院での治療は妻に合わず、少しも効果を示さないばかりか、むしろ妻の身体は弱るばかりだった。標準治療だけでなく、怪しげな「先端医療」も試みた。

『凡人のためのあっぱれな最期』(樋口裕一著/幻冬舎)

治療がむしろ体力をなくしてしまうということで、毛髪も再び生えてきたこともあり、しばらく抗癌剤治療を中止して、温泉に行くなどして過ごしていたが、8月に病状が急変して、そのまま入院、すぐにホスピスに入って帰らぬ人になったのだった。

その間、家族はあたふたとし、時に絶望し、検査結果に一喜一憂したのだったが、ただ一人、泰然(たいぜん)としていたのが妻本人だった。