絶対失いたくないものはやめないでほしい

ーー『オーマイ・ダッド!父がだんだん壊れていく』を読んでいて、印象的なのは森さんが仕事と介護を両立させるべく奮闘している様子だ。小説やエッセイの執筆以外にもいくつかの公的機関の委員を務め、講演やラジオ出演もあり、大学院にも通っていた。睡眠時間を削って両立させた。父が自動車事故を起こした時は東京に出張中。以降の仕事をキャンセルして飛んで帰った。出張の時は父のカレンダーに〇をつけ、行き先を書いた。

私は出張に行けるチャンスがあると、仕事という大義名分で介護を離れられて一息つくことができました。それだけではありません。仕事は自分が生きる支えです。

だから、これから介護に携わる人に訴えたいのは、仕事でもいいし趣味でもいい、自分が絶対失いたくないものはやめないでほしい、ということです。

『婦人公論.jp』 の連載をまとめた『オーマイ・ダッド!父がだんだん壊れていく』が、2月21日に刊行された。電子版とAmazonPODのほか、北海道内の紀伊國屋書店でペーパーバック版として発売中

2022年の統計では介護離職は10万人を超えたそうですが、とにかく仕事は辞めないで。

自分の時間を作るのは決して悪いことではなく、大切なことです。それがあってこそ
介護する相手に優しく接することができるのです。