この頃、猫たちが変わった。かれらももう四歳だ。仔猫だったときの、宇宙人と暮らしてるような、猫じゃらしで遊ぶときはおもしろいけど、後はコミュニケーションが取れないというような、あの不思議な感じがなくなった。いつもあたしのそばで、いつもあたしのことを見ていて、ずっとあたしといっしょに生きていきたいと思っているように、人臭くなった。

メイはつねにどっしり構えて、動物たちの頂点がクレイマーだとしたら、家のすみずみに気を配って守ってくれる執事みたいな存在になってるし、テイラーはすごいおしゃべりで、間断なくあたしに話しかけてくる。

そもそも犬も猫も、声というものをあまり出さないから、テイラーは、よく声を出す動物(あたし)に向かって、わざわざあたしの使う言葉(それが声)を使って話しかけてくれてるのかもしれない。

なんてことを考えながら、あたしはカーペットの上で大の字になる。

ニコは穏やかに眠っている。クレイマーは犬用ソファに寝そべって、あたしから声をかけられるのを待っている。チトーは野犬だったことなんてすっかり忘れたみたいに、しっぽをぶんぶん振りながら、遊んでくれるものはいないかと、御用聞きみたいに一匹ずつ聞いてまわっている。


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米国人の夫の看取り、20余年住んだカリフォルニアから熊本に拠点を移したあたしの新たな生活が始まった。

週1回上京し大学で教える日々は多忙を極め、愛用するのはコンビニとサイゼリヤ。自宅には愛犬と植物の鉢植え多数。そこへ猫二匹までもが加わって……。襲い来るのは台風にコロナ。老いゆく体は悲鳴をあげる。一人の暮らしの自由と寂寥、60代もいよいよ半ばの体感を、小気味よく直截に書き記す、これぞ女たちのための〈言葉の道しるべ〉。