水深約20~30メートルほどの海底に設置した網へと魚を追い込む(『コウケンテツの日本100年ゴハン紀行2』より。伊良部漁業協同組合提供)
シンプルで美味しい家庭料理が人気の料理研究家・コウケンテツさん。ユーチューブ公式チャンネルは登録者数200万人を突破し、3児の父として食育を広げる活動にも力を入れています。そんなコウさんが、NHK番組『コウケンテツの日本100年ゴハン紀行』で沖縄県の伊良部島を訪れ、土地の魅力や美味しい食材を探索した様子を紹介します。

サンゴ礁での伝統漁業

朝5時。沖縄の旅は、沖縄本島から南西に約300キロ、日の出前の伊良部(いらぶ)島の漁港から始まりました。コウさんは沖縄の伝統的な「アギヤー漁」に同行することにしたのです。

この海域では海底の岩やサンゴに引っかかるため底引き網が使えません。そこで、船から垂らした網を岩などで海底に固定し、漁師たちは泳いで袖網(そであみ)に沿ってグルクン(和名・タカサゴ)の群れを行き止まりの袋網(ふくろあみ)まで追い込んでいくのです。

その時に活躍するのが黄色い房がついた「サッビャ」と呼ばれる長い棒で、魚を威嚇しながら誘導します。

アギヤー漁は、夏は主にグルクンの稚魚をとり、これがカツオ漁の餌になります。アギヤー漁がなければ島のカツオ漁も成り立ちません。そして、秋になると食用になるグルクンの成魚を獲るのです。