体は衰えても成長はできる

正直、60代の頃よりも70代の今のほうが若返った気がしているんです。股関節痛がなくなって歩けることも、今の元気に繫がっていますね。

今後、役者としてどんな役をやりたいとか、目標を立てることもやめました。そもそも何かを目指すから、到達できないと挫折するんです。今はただ目の前の仕事に精一杯取り組むだけ。役との出合いは縁と運です。

自分は主役の柄ではないと長年思っていましたけれど、そういう思い込みも捨てました。いただいた仕事はどんな役でもトライしてみようと今は考えています。

毎回違う役に出合うわけですから、そこには必ず学びがある。スタッフや共演者など多くの若い人と関わることで、発見や創造が共有できて、それが私の成長に繫がっていきます。学びの機会はいっぱい転がっていて、自分が望みさえすれば、死ぬまで成長できるのだと気づきました。成長するのに年齢制限はないんです。

私の場合、普段は年齢を意識することはなく、忘れています。それでつい若い役者さんと一緒になって動き回ってしまう。この間も、高くジャンプして着地した瞬間、あれ、足首が痛い。私、ジャンプに耐えられるほどの筋肉がないぞ、と気づきました。

ケガをしないためにも、時々は「76歳だよ」と自分に言い聞かせたほうが安全かもしれませんね。(笑)


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