歌手、俳優の美輪明宏さんがみなさんの心を照らす、とっておきのメッセージと書をお贈りする『婦人公論』に好評連載中「美輪明宏のごきげんレッスン」。
4月号の書は「信仰」です。

「信仰」と「宗教」

私が言うところの「信仰」とは、ある特定の宗教を信じることとは違います。人は誰でも、自分のなかに善なるものと悪なるものの両方を持っています。悪ではなく、自分の内なる善の部分を掘り起こすよう努力する。それが、私が考える「信仰」です。

 信仰を持てば、自分が悪いことをしそうになったとき、もうひとりの自分がたしなめてくれます。また、生きていれば、人を憎んだり、意趣返ししたくなったりすることもあるでしょう。

 そういうときも、「いけない、いけない」と軌道修正できるはず。そうやって己の精神を神や仏に近づけるよう高めていく作業を繰り返すことが、修行であり、信仰だと思います。

 一方、宗教は、神様や仏様と人間の間に立つ卸問屋のようなもの。「こういう考え方や方法がありますよ」「こんなグッズもあります」といった商いをする企業にたとえてもいいかもしれません。優良企業もあるけれど、なかにはインチキなブラック企業もあるでしょう。ですから、よくよく調べたほうがいいと思います。