はづき 母が亡くなる数日前、二人で「もう1回、新婚旅行に行きたい。できれば海外に」って話していたらしい。結婚した時、本当は新婚旅行で海外に行きたかったけど、時代が時代だし、北海道に行ったのよね。

カンナ じゃあ、母の位牌を持ってスペインに新婚旅行!

はづき いいわねぇ。今思うのは、「死ぬも生きるもたいした違いじゃない」ということ。気がつくと私も、母の写真に向かってしゃべっていたりするの。「あなたのダンナさん、どうなのよ」とか(笑)。

この人にはかなわないと思わせる逝き方をしたので、「あなたに完敗です」と思った途端、すごく素直になれた。今なら母になんでもしゃべれる。

カンナ 私もお線香あげるたびに、話しかけている。いつも近くにいる感じがするものね。

はづき 若い頃は、普通のお母さんでいてほしいと思ったこともあるけれど、やっぱりあの母だからこそ、本当に楽しかった。

カンナ そういえば父は、お寺さんで、「戒名はいりません!中村メイコは中村メイコですから」って強く言って。お坊さんも、それでいいと言ってくれた。

はづき 最後の最後まで中村メイコを全うした。本当にあっぱれな人生だったと思います。


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