中村メイコさんの娘の、神津はづきさん(左)と神津カンナさん(右)(撮影:大河内禎)
〈神津はづきさん、弟の神津善之介さんと4月8日の『徹子の部屋』に登場〉
2歳半で芸能界入りし、86年の長きにわたり女優として活躍を続けた中村メイコさんが、2023年12月31日に逝去しました。享年89。亡くなる直前までテレビ収録を行っていたというメイコさんの最期の様子を、娘2人が生前の母との思い出とともに語った、発売中の『婦人公論』4月号から記事を先出し配信します。(構成:篠藤ゆり 撮影:大河内禎)

<前編よりつづく

終活を進めて夫婦の蜜月を過ごす

カンナ 高齢になってからも、両親は私たちとはつかず離れず。決して寄りかかろうとはしなかった。

はづき 父は私たちが小さい頃から、「人間は他人と生きていくために生まれてくる。お父さんとお母さんは、あなたたちが他人と生きていける人間に育てるためにいるだけだから」って。

カンナ 80歳で一軒家をたたんで、ほとんどのものを処分したでしょう。人にあげられるものはすべてあげて、それ以外にトラック7台分を処分した。あの頃から、終活を始めていたのね。

はづき あれだけ靴や洋服を大量に持っていた人が、たぶん洋服なんて10着くらいしか残さなかったんじゃないかしら。着物も帯も、人に差しあげた。

カンナ 若い頃から、人にものをあげるのが好きだったから。酔っぱらって、着ていた着物も帯も人にあげて、長襦袢1枚で家に帰ってきたり。(笑)

はづき 断捨離で着物と帯を人に差しあげる時、帯揚げを添えるのを忘れたみたい。亡くなったあと、母の引き出しを開けたら、「え~っ、こんなに帯揚げが!」(笑)。ヘンなものも残している。

糊のきいたサロンエプロンが2枚。どこかで見たことあるなと思ったら、新婚時代に父が撮った写真に、そのエプロンをした母が写っていた。

カンナ 大切にしたい思い出だったんでしょうね。

はづき 私たちの幼稚園の制服も残っていたものね。