人流
もう1つの視点は、人の出入(ではい)りです。
これはブランド立地でなくても、多くの人々が出入りする人気エリアのことです。湾岸エリアや鉄道が交接するターミナル駅近辺が該当します。
ただし一口にターミナル駅と言っても、エリアによる属性があります。
下町エリアでは自然災害に脆弱(ぜいじゃく)と言わざるを得ませんし、また開発余地が少なければ、一度きりの開発では街の発展に限りがあります。
また、特急や急行が停車しない駅などは要注意です。
地盤は変わりませんが、人流(じんりゅう)は時代と共に変化します。
流行の街がその面影(おもかげ)すら失う様(さま)はよく見られる現象です。
したがって、都心マンションを買うコツは、「ブランド立地は中長期所有」「流行のエリアは時代を見据えて」となります。
言い換えれば、それ以外の中途半端なエリアで高額物件に手を出すのは、自身が気に入って住み続けるならかまいませんが、資産価値の維持や向上を狙うには得策ではありません。
今後は東京でさえ、これまで経験してきた一方的な右肩上がりの社会ではなくなります。
都心部のなかでも成長する街、取り残される街に階層格差がついていくのがこれからの日本であり、東京なのです。
※本稿は、『なぜマンションは高騰しているのか』(祥伝社新書)の一部を再編集したものです。
『なぜマンションは高騰しているのか』(著:牧野知弘/祥伝社新書)
マンション価格の高騰が止まらない。
かつて「億ション」、すなわち1戸=1億円以上のマンションが騒がれたことが噓のように、今や「2億ション」「3億ション」でないと、不動産業界では超高額マンションと呼ばない。
東京だけではない、大阪でも25億円の物件が登場した。いったい誰が買っているのか? 驚愕の価格の背景には何があるのか? 日本社会はどう変わっていくのか? 業界に精通した著者が読み解いていく。