個性の創造

常識が不足しているのも困りますが、それがあまりありすぎて、肥満した人の心臓が脂肪過多で圧迫されるように、人間の命である想像力を萎縮させてしまう結果になっては困ります。

個性の独立を主張する時代にあっては、他人の型や法則をまねる必要はありません。

中学以上の教育においては、個性の創造を主として指導しなければなりません。

受験の準備のためでなく、個人の希望と長所に従って、自由に学べる制度を望みます。

「伊豆山より」(『人間礼拝』より)

※本稿は、『与謝野晶子 愛と理性の言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。


与謝野晶子 愛と理性の言葉』(著:与謝野晶子・松村由利子/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

近代歌壇を代表する歌人で『みだれ髪』や『君死にたまふことなかれ』などで知られる与謝野晶子は、文学の世界のみならず、社会評論の世界でも活躍しました。

晶子が書いた15冊の評論集の中から、選りすぐりの言葉たちと、晶子の歌や詩を織り交ぜながら「学ぶこと」「働くこと」「人生」「愛」「自由」などのテーマごとに読みやすく、わかりやすくまとめました。