子どもだけでライブに行くのなんてまだ早い
音楽の好みは食やファッションと同じで、誰にも制限されたりとやかく言われる筋合いはない、というのがわたしの信条だ。
なので野球や勉強、今日するべきことを全て終えたらいくらでもどうぞ。それが我が家のルール。
最近は少々野球で厳しいことを父親から言われる時こそ、逃げ込むようにヘッドホン片耳外してラップを聴いている瑛介。両耳で聴いてしまうと父の不規則な問いかけに返事が遅れてしまい、父の大噴火が起こりかねないからだ。
反抗期あるある。母も気が気ではない。
そんな瑛介が、最近ラップのライブに行きたいと言い出した。
同い年の友達がそろそろ行くようになっているらしく、羨ましそうに友達の話をわたしに聞かせる瑛介。
横浜アリーナや日本武道館、ラップバトルの行われる会場の横を通るだけでヒヤッヒャと興奮するようになった。
「今度武道館であるラップバトル、友達といっしょに行っていい?」
「いい?」くらいのところに被せるように
「ダメです」
わたしは答えた。
あーだからこーだから、と理由を並べるまでもなく、当たり前だけど
「子どもだけでライブに行くのなんてまだ早い」