プチ障害を持った者同士、仲よく、楽しく、二人三脚で……(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは京都府の50代の方からのお便り。全盲の義母との同居生活を20年。自身の精神疾患のために、大変なこともたくさんあったそうですが――。

二人三脚で

私は20歳の頃から、精神疾患を持っている。今ならさほど驚かれないだろうが、当時は特異な病気とみられていた。両親は私の病気・通院を認めず、結婚が決まって結納の数日前、「こんなん飲んでたら嫁に行けぬ」と私の薬を無断で捨ててしまった。しかし、夫はそんな私をそのまま受け入れてくれた。

結婚は、全盲の義母との同居が条件であった。義母は病を持つ私との結婚に反対だったらしく、同居生活は探り合いで始まった。私も全盲の人と接するのは初めて。衝突はたくさんあったが、きちんとお互いの気持ちを打ち明け、話し合って和解することができた。

共働きだった私の両親との生活と比べると、あたたかいご飯を家族全員で食べたり、互いに補い合って過ごす時間に、ギスギスした心が癒やされるよう。子どもはいないが、私は家庭のぬくもりを初めて感じたものだ。

これまで病のせいで、大変なことがたくさんあった。薬の副作用による肝炎で入院したり、かろうじて取得した運転免許も事故を起こしたので返納したり。しかしそのぶん、サポートして寄り添ってくれる人のありがたさは身に染みてわかっている。

義母との生活は20年。今は施設に入り、月に一度面会に行くと、声だけで私だとわかってくれる。夫と二人の生活も穏やかに過ぎていった。

ところが夫は定年退職してから、突然目が悪くなったのだ。白いお米がわかりやすいよう、茶碗を黒いものに替えてほしいと言う。車の免許も返納した。初めは泣いた。「この人の目が、なんで悪くなるの!」と。

だけど今、笑顔が戻っている。私が自転車で夫を先導したり、人ごみのなかでは腕を組んだりと、サポートする生活を楽しめている。プチ障害を持った者同士、仲よく、楽しく、二人三脚で生きていこうと思う。


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