まとうオーラその全てに虜になる

伏し目から前をカッと見据えたときの静かな迫力。男性のダンサーに抱きついて甘えるような目でこっちを見たときのドキッと、ハッとさせられる婀娜な様。片方の口角を上げていたずらっ子っぽく笑ったときのキュートさ。挑発するような表情の痺れる程の格好良さ。コロコロと変わる表情、まとうオーラ、その全てに、虜になる。

写真提供◎AC

毒々しく、でもとてもロマンチックでドリーミーで、現実と虚構のあわいにいると錯覚する。気が付くと彼女の創り出す世界観に飲み込まれ、どろどろと溶けていく。

ちゃんみなの舞台演出のクオリティには定評があるが、若者の「マインドアイコン」とも言われるメッセージ性と、それを体現する姿勢も注目と尊敬を集めている。

2曲目に披露された『RED』は、韓国とのミックスルーツである彼女が、母親に向けられた人種差別の体験を歌詞にしたものだと思われる。「わかるだろお前だってRED」「皮一つ違うだけで」と言った歌詞が出てくる。人種や国籍が違っても、肌の色は違っても、皮を剥がせば、流れる血の色は同じ。そんなメッセージだと受け取った。

パフォーマンスはちゃんみならしいとてもハードな仕上がりで、身体をくねらせ踊りながら歌う姿は実に格好いい。しかし、歌詞中に飛び出す人種差別の言葉はとても鋭利で、それが子どもだった彼女にとってどれだけ過酷な体験だったのだろうと思わされる。

そんなことを思うと、表現に昇華されたどうしようもない痛みの断片が、私の皮膚や細胞を透過して心に伝わってきて、涙が滲む。