体中の細胞の力を総動員

イベント当日は、しとしとと、と言うより、ぼたぼたと冷たい雨が地面を打ち、濡らすような、「足元が悪い中~」という言葉が、本当にその通り過ぎる夜であった。

写真提供◎AC

緊張しいの私を、会場のみなさんがとても温かい雰囲気で迎えてくださった。お涼さんは、終始さすが俳優さん!という、貫禄と余裕のある肝の据わった様子で話を進めてくれ、気が付いたら、お涼さんの独特な軽やかなリズムに飲み込まれ、リラックスして話している自分がいた。

お涼さんが私の書いた2冊の本から感じ取ったことから始まり、好きな本、救われた本の話題にも話が及んだ。お話を聴いていると、お涼さんから見えている景色を少しだけ覗き見したような、不思議な気持ちになる。

ちゃんみなのライブでの経験があったから、目を見開き、感覚という感覚を開き、研ぎ澄まして、こぼれ落ちていくこの瞬間を逃さないように、体中の細胞の力を総動員して臨戦態勢で挑んだ。

お涼さんの話からは、人間の奥行きというものを感じさせられる。深い洞察力と、この世界からありとあらゆるものをキャッチする力。途方もない思考の広さ、深さ。そして思慮深さや愛情深さ。それらがありありと伝わってきて、震えるような思いがする。