ベルトやトロフィーを眺めて悦に入る暇はない
ボクサーの強い弱いは突き詰めれば、ハートの問題に行きつきます。覚悟を決めた人間だけが上に行くことができるのです。
腹を据えてやらなければ、技術も能力も発揮することはできません。勝負事は、その言葉通りに「勝ち負け」ですから、確固たる決意を持って臨まなければなりません。
試合は当然のこととして、日々の練習でこそ、「その気持ちを常に持とうな!」ということを理解してもらいたいのです。いちばん目立つ場所はどこかと考え、リビングになりました。ベルトやトロフィーを飾るのは引退してからになるでしょう。
マスコミの方から、よく記録について尋ねられますが、現役でいる以上、記録はさほど気にしていません。記録のためにしているのではなく、結果として記録が後からついてきた、というのが実感です。
同じようにベルトも気にならないものです。頑張ったな、という証ではあると思います。ありがたいことであることは言うまでもありません。けれども、ベルトのために頑張ってきたわけではありません。頑張りは今日も明日も明後日も続くものです。ベルトやトロフィーを眺めて悦に入る暇はないのです。
※本稿は、『努力は天才に勝る!』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。
『努力は天才に勝る!』(著:井上真吾/講談社現代新書)
優れたコミュニケーターである著者が、いかにして2人の息子をチャンピオンに育て上げたのか、その秘密を余すところなく語る。ボクシングファンだけではなく、ユニークな子育て論、親子関係の参考書として、世の親御さんたちにぜひとも読んで頂きたい1冊