老親の介護で気づいたこと

私の反対を押し切り、会社を辞めて起業した夫。しかしあてにしていた顧客に去られ、2年ほどで経営破たんしました。私が実家に生活費の無心に行くのを、夫は見て見ぬふり。

みじめさ、怒り、それに離婚したくとも生活力がない自分への苛立ちも募り、つい昼間からお酒に手が伸びるようになりました。夫が帰宅する頃には泥酔し、夫を罵倒したり引っぱたいたり……したらしいのだけど、ところどころ記憶が飛んでいる。で、夫の外泊が増えました。

離婚に至らなかったのは私の母の持病が悪化し、要介護状態になったから。夫は「僕が心配をかけたぜいだ」と、毎週手伝いに行き、買い物や病院の送迎をしてくれています。

母は「あの人は本当に思いやりがある。こういう時に人の本性がわかるんだ」と。確かにそうかもしれません。今の生活を乗り切るには、私自身も変わちなくては、と思っています。
(51歳・主婦)

 

土と格闘する夫にほだされて

老後の生活設計を巡って冷戦が続いていた頃、夫が凝りだしたのが家庭菜園。私は興味もないし、口を出して喧嘩になるのも嫌だから、初めは見ないふりをしていました。

でも狭い庭に苗を植えるだけのままごと菜園が、耕した土をブロックで囲う畑作りに変わった頃から「おや、本気で野菜作り?」と気になりだして。デスクワークしか経験のない夫が土と格聞している姿もおかしく、「やっぱり基本は土作りだよ」「へえ、それで?」と話を聞いてあげると、夫はますますやる気を出し、気づいたら私も一緒に土いじり。

われながら意外な展開です。太陽の下、ナスや完熟トマトの話題で盛り上がり、冷戦もいつのまにか終了。老後の生活? まあ野菜だけはあるし、なんとかなるかという気がしています。
(57歳・主婦)