「介護施設に入れる=かわいそう」は思い込み

だったら誰が親の面倒を見るのか、という話になるわけですが、せっかく介護保険があるわけですし、公的な介護サービスを積極的に利用するのがもっとも理にかなっていると私は思います。

「介護施設に入れるのはかわいそう」という風潮がまだまだ根強い日本では、その選択をすることに罪悪感を抱えてしまう人が非常に多いのですが、決してそんなことはありません。

そもそも、プロが行う介護と素人である個人の介護とでは多くの場合、そのクオリティに大きな差があります。

つまり公的な介護のほうがより良いケアを受けられるということです。

介護施設での虐待事件のニュースなどがテレビで繰り返し報道されることも、介護施設に入れられる高齢者は不幸だ、といった印象を強めているのだと思いますが、実態はまるで違います。

厚生労働省の調査では、2021年度の介護従事者からの虐待判断件数は735件(通報件数は2390件)ですが、家族や親族からの虐待判断件数は1万6426件(通報件数は3万6378件)で、家族や親族が虐待しているケースのほうが桁違いに多いのです。それどころかアンケート調査では介護家族の3〜4割が虐待経験があると答えています。

この数字だけを見ても、介護施設に預けることが、家族や親族に介護されている人より「かわいそうだ」とは必ずしも言えないことがよくわかります。

※本稿は、『60歳から女性はもっとやりたい放題』(扶桑社)の一部を再編集したものです。


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