「背中を押してくれたのは、『顔にちょっとくらい傷ができても、ママはチャーミングだから大丈夫だよ』という息子の言葉でした」(撮影:宮崎貢司)
キルト作家としても多忙なキャシー中島さんは、40代のころから指の腫れや痛みに悩まされてきた。年齢のせいと考えて放置していたが、50代半ばでようやく受診を決断。更年期以降の女性に多いヘバーデン結節とわかり、25年も症状とつきあっているという。そして、60代半ばに、顔の皮膚の異変に気づく。不安に陥っていた彼女を病院に向かわせたきっかけは――(構成=村瀬素子 撮影=宮崎貢司)

<前編よりつづく

小さな赤い点を発見!怖くて病院に行けず

じつは64歳のときに、皮膚がんも患いました。ある日、右目の下に赤い小さなできものを発見して。肌の炎症かしら、そのうち治るだろうと思っていたら膨らんできてしまいました。かさぶたになり、取れて、またかさぶたに……と、徐々に大きくなっていったのです。

娘(アーティストの勝野雅奈恵さん)が、インターネットで調べて「ママ、それはよくないものかもしれないから病院に行って」と言ってくれたのですが、なかなか勇気が出ません。

もし皮膚がんだったら、顔の皮膚をガサッと取ってしまうのかしらと不安になったのです。一方で、「いや、単なる皮膚炎。がんのはずはない」と否定する気持ちもあって、しばらく病院に行けませんでした。

それで、このときも2年近く放置してしまい、赤いできものは5ミリぐらいの大きさに。さすがに病院に行くべきかと悩んでいたとき、背中を押してくれたのは、「顔にちょっとくらい傷ができても、ママはチャーミングだから大丈夫だよ」という息子(手芸家の勝野洋輔さん)の言葉でした。