わかってもらいやすいコツ
もちろん、気持ちを伝えればなんでもOKというわけではなくて、言葉は選んだほうがいいでしょう。わかってもらいやすいコツを一つお伝えします。
主語を「私は」にして話してみることです。
たとえば、不機嫌で妻をコントロールしようとする夫がいたとします。
「あなたが不機嫌だからいけないのよ」と「あなた」を主語に妻が話すとどうでしょう。
「あなたが〜いけないのよ!」だけが夫の頭に入ってきがちです。
すると夫は「責められてる」「言い返さなきゃ」「お前だって!」と感じて反撃してきそうですよね。
「あなたは〜」というのは、相手のことを「いい」「悪い」とジャッジしているような言葉なので「攻撃されてる!」と受けとられやすいのです。
実際のところ、相手には相手の考えや事情があったりします。それをわからない人から勝手にジャッジされると腹が立ったりするのも無理はないともいえます。
一方で、「私は」が主語の場合はどうでしょうか。
「私はあのとき怖くて悲しかった」
「私は自分が悪いのかと思ってつらくなった」
これだと、「私」が感じたことを素直に伝えただけで夫をジャッジしていません。あくまでも「私」の話なので、夫も攻撃されていると思いにくいのです。
真実を伝えられた夫のほうも「攻撃への対処」によけいな労力を使わなくていいため、相手の言葉に耳を傾けやすいと思います。
ただ、話したからといって必ずわかり合えるとは思わないことも大切です。
だって、お互い違う常識をもって生まれてきた、まったく別の人間なんですから。完全に100%わかり合うことなんてできないんです。
でも、「全部わかり合う」という「0か100か」の思考を手放して、「ココとココはわかってもらえたけど、あとはわかってくれなかったなぁ。でもまぁわかってくれた部分もあったから、まあいっか」という感覚が大事だったりします。
ポイント:「私は」を主語にして気持ちを伝える
※本稿は、『「そのままの自分」を生きてみる 精神科医が教える心がラクになるコツ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
『「そのままの自分」を生きてみる 精神科医が教える心がラクになるコツ』(著:藤野智哉/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
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