人として半人前なんじゃないか

目下の悩みは、おつきあいさせていただいている方たちに、どうお礼をしたらいいのかということ。野菜作りのコツを教えてもらったり、道具を貸してもらったり、たくさんお世話になっているのですが、僕は返せるものを何も持っていない。

東京では、お金を払って畑地を借りたり、野菜作りを習ったりしますよね。でも、僕と農家さんの関係はそういうものではない。向こうはプロなので、僕が収穫した野菜を持っていくわけにもいかないし、ちょっといいお菓子でも買って「先日はどうもありがとうございました」とご挨拶するのもしっくりこない。かといって、畑の真ん中で台詞を言ったところでしょうがないですから。(笑)

こういう時、僕には俳優として演技をすること以外の武器がないのだと実感します。このままでは人として半人前なんじゃないか。何かしらほかに強みを作らなくては、と思っています。

それに、俳優の仕事だけをやっている僕では、子どもに何も教えられない気がするんです。作品を見せるわけでもないし、「親父は今日、(撮影で)焼肉食べて帰ってきたけど、それが仕事なのかな」なんて、遊んでいるかのように思われたくない。

「子どもに見られているぞ」という感覚と、「自分も自分のことを見ているぞ」という感覚を常に持っていたい。適当に生きてちゃダメだな、と思っています。